寝室の椅子

「寝室の椅子」鉛筆デッサン(2015年5月)

ある日僕は、ベッドと椅子とコンクリートブロック2つを除き、寝室にあった全てのものを捨ててしまった。椅子は着ていたものや眼鏡を置くのに必要だったし、コンクリートブロックは携帯電話を置くのにあった方が良い気がした。いらないものを無くしてみると壁がやたらと広く見え、かつてそこに在った物たちの影を残して黄ばんでいた。それは、ヘヴィスモーカーだった昔の自分が残した「愚の痕跡」である。ふと見れば、空虚になった部屋の中に、椅子だけが従順な執事のような顔でそこに居た。5月。季節外れのセーターを描きながら、「これは、これから脱皮する僕の皮だ」と思うようにした。

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