視線の彼方

 

視線の彼方(2018/3/25油彩F30)

昨年夏、自分が中心となって立ち上げた、アトリエ7.q/season2で制作した油彩画である。アトリエ7.qは、画塾や絵画サークルとは少し異なり、およそ4ヵ月を1クールとした、10セッション2400分の長時間設定による制作プログラムで開催している。

クロッキーやデッサンであれば、画面に人物だけを描き、余白を紙の地のまま残したとしても成立するが、油彩画となるとそういうわけにはいかない。油彩画の場合、人物の背後に、たとえ壁しかなかったとしても、背景を描く必要性に迫られる。彫刻家が対象をマッス(量塊)で捉えて造形するのに比べ、画家はマッスだけでなく、ヴァルール(色価)も含めて対象を捉え、画角で切り取られた空間全体を構成する必要がある。そこが絵画の難しいところだ。

画面全体のスキーマ(描画における計画性)を立てると、ヴァルール(色価)の整合性を保つためには、選び取られた、ごく狭い範囲の階調で描かねばならないことに気づくだろう。

さらに一枚の絵を描くことを考えるなら、背景に描くものの状況設定やコンポジション(構図)によって、ひとつの表現としての堅牢性を画面上に構築しなければならない。どんなに感情的に描き殴られたような絵であったとしても、その絵が優れた表現であるならば、その背後にはその画家の特有の絵画への考え方が存在する。

最近、僕は、デッサンからタブロー(平面作品)への移行についてよく考える。対象を捉えて描く中で、ただ見たままを写しとるのではなく、描きたい主題は何であるかを見つけ出すことに腐心し、さらにそれを、どのように演出すれば効果的に表現できるのかを探るようにしている。このようにタブロー制作に意識をおいて描くことを考えると、人物を描くということは、なかなか奥深いものがある。

この作品は、このような自分の試行錯誤をよく示していると思う。対象の各パートの色面の配置を工夫し、青い毛布の斜めのエッジに対し、画角右下方に向けたモデルの視線でバランスをとっている。サブカルチャーをこよなく愛し、独特な世界観をもつ彼女は、時々この絵のような涼しい眼差しを向ける時がある。それを俯瞰的な構図から描くことで表現に結び付けようと試みたのである。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です