Gallery“じむしつ”

2018 Smoking factory man

最近、(といっても2月ごろだが)”Smoking factory man(煙草を吸う工場男)”という絵を描いた。

“Factory man”は自己の分身だ。やきものの街である瀬戸市で育った僕の家の周りには、かつて木造の陶器工場や煉瓦造りの煙突がたくさんあった。今や瀬戸市の陶磁器産業は衰退の一途をたどっているが、幼少期の記憶の中にある原風景は失われることはなく、今もなお黒々とした煙をあげている。生産の源である工場というモチーフに、アートを創造し続けたいと願う自己を投影すると、それがムクムクと人の形になって“Factory man”が出現する。思うに“Factory man”は自分の創作が勢いに乗ってくると出てくるようだ。彼は「出たがり」な性格で主張が強く、必ずといっていいほど画面いっぱいに全身像で描かれる。今回出てきた“Factory man”の面白いところは、イメージとしては夜景の中にいることで、街の窓の中に、いろんな人がいろんな暮らしぶりで描かれていることだ。窓の中には…パンツ一丁で歩きまわる波平風なオヤジ、アル中男、全裸の風俗嬢、オムツのとれない夢遊病患者などがいて、街道にはワニが徘徊している。ちょっと不健全な世界なのだけど、こういう世界も絵の中では全然ありなのだ。

ところで、最近描いた“Factoryシリーズ”は、笑えることに僕が勤務している学校の事務室に常設されている。入場料無料。(笑)天然のオルタナティブスペースである。

学校が開設されたとき、事務室にいた女性の主査が、実に明るい気さくな方で、「もっと人が気軽に来てくれる事務室にしたい」とおっしゃったので、「じゃあ僕の絵でもかけます?」なんて冗談でいってみたら「ぜひぜひ!」ってなことになり、トントン拍子で事務室ギャラリー化計画が実現し、Gallery“じむしつ”は、今年で5年目に突入。何しろ白い壁を僕の好きに使っていいよっていうんだから、そりゃあもう、願ったり叶ったりでやりたい放題だ!(笑)企画を自由に自分で練ることができるので、僕はキュレーター兼絵描きさんということになるのだろうか。(「ごっこ」ではあるけれど)展示は、その時の気分で、ある時は写実的な油彩画展だったり、人物デッサン展だったり、自由な平面作品だったり、本当に自由にやらせていただいている。

そして嬉しいことに、事務室にコピーを取りに来る人たちや学校への来訪者など、いろんな人が僕の絵を見てくれる。ある時などは、展示してあった作品を隣の校舎の事務長さんが買い取ってくれた。(その時の作品は、今もなお隣の校舎の壁に展示してある。)最近、校長先生からも校長室に絵を飾ってくれないか、と言って下さった。こんな風にオファーをいただいて飾ってみると、ごく小さなものではあれど、職場に人の交流が生まれ、作品への素直な感想を聞くことができる。素朴ではあるが、これがアートの面白さなんだと、実感する今日この頃である。

2018 学校事務室

 

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