自転車をぶった切る!

これは、僕が勤める特別支援学校での話・・・。

昨年4月、教育委員会から平成29年度の指定研究員の委嘱をうけた僕は、市から支給された1万円の助成金によって教材・教具に関する研究論文を執筆することとなった。僕にとってこの類の仕事は決して嫌いではないのだが、この研究については、アイディアが浮かばず、昨年の夏の終わりは悶々としていたことを思い出す。それはもう、夏休みの宿題をやり残した子どものように・・・。(笑)結局、研究に着手したのは10月のことで、特別支援教育に関する4冊の専門書を買って読み、障害のある子どものアセスメント(診断的評価)を入念に行うところからはじめた。

11月、僕は近隣でリサイクル業を営む中国人から廃棄自転車2台を購入し、電動切断砥石(サンダー)でフレームをぶった切った。図のようにフレームを数箇所切断することで、チェーンホイールを2個取り出し、さらにそれらをチェーンで連結させることによって図のような道具を作り上げた。この道具は、ハンドルをまわすことで回転盤が連動し、円盤状のパネルに固定した画用紙にうずまき模様を描く機械である。ネーミングが陳腐なのが玉にきずだが、「くるくるマシーン」と名づけた。

くるくるマシーン(裏面)

 

 

くるくるマシーン(表面)

さて、「このくるくるマシーン」には、2つの教育的意義がある。1つは、子どもの感覚統合の課題に迫るものである。肢体不自由のある子どもは、「目と手の協応動作」に困難を抱えており、苦手意識から描画への意欲が乏しい者も多い。しかしこの道具を使えば、少ない動作で一瞬にして渦巻き模様を描くことができる。「手が動かないのなら、紙が動けばいい」という逆転の発想から生み出した教材なのだ。この爽快な描きっぷりによって子どもたちの興味・関心を引き出すことができれば、目と手の協応動作による活動に結び付けられないかと考えたのである。

もう1つは、この道具は、描く者、ハンドルをまわす者などが役割分担されており、お互いに協力しなければ制作できないことである。障害のある子どもたちは、親や教師などの大人を中心とした保護された関係が中心となりがちであり、子ども同士の関わりが非常に少ない。そこで、この教材のような意図された状況を設定することで、子ども同士のコミュニケーションの広がりや人間関係の形成につなげたいと思ったのだ。

実際の制作では、4人の生徒が連携して制作し、3分間ローテーションで係を交替する。さらに、子どもたち相互のコミュニケーションを円滑にするために「止めてください」「〇色のペンをください」など、ロールプレイのような定型句による言葉のやりとりを事前に練習した。するとこの活動は、回数を重ねるごとに生徒同士の間に積極的なやりとりが出てきて、とうとう教師が傍らで見ているだけで自分たちで操作して制作できるようになったのである。どうやら「くるくるマシーン」は、予想通り、子どもの興味・関心に迫る教材となったようだ。

  

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です