choker

2018/8/12 / choker / 鉛筆・墨 / F30

4月から開始したアトリエ7.q:season3は、会期中、台風のため中止となった日もあったが、おかげさまで今日、こうして最終回を迎えることができた。全10セッション、固定ポーズ累計時間1995分。自作したF30号パネルにKMKケントを水張りし、鉛筆と薄墨で描いた。できたてのほやほやの作品である。

構想段階で、モデルにヌードによる床ポーズに加え、首に皮ベルトのアクセサリー(チョーカーというそうだ)を巻くように依頼したところ、ありがたいことに快く引き受けてくれた。このアクセサリーには思い入れがあり、絵画の好きな人ならすぐにピンとくることと思うが、エドワール・マネ(1832~1883)の「オランピア」やアンドリュー・ワイエス(1917~2009)のヘルガシリーズ「黒いベルベット」に使われている印象の強いアイテムである。それらの名画のオマージュとしての意図は含まないが、もしこのモデルがこのアクセサリーを身につけてポーズをとったら、どのような作品を描くことができるだろうか、ということが動機としてあった。ワイエスの「黒いベルベット」のような背景に憧れ、毛足の長い毛布を床に敷き、初日の午前のセッションを使ってクロッキーを行った。本会では、ポーズの決定権は主催者である僕に一任されているが、実際には、いくつかモデルがとってくれたポーズの中から候補を選び、会員の投票によって民主的に決定した。

このポーズには、どこか挑発的で鮮烈な力に満ちているように感じられた。大胆に開いた脚部から身をよじるように後傾した体幹は肉感的で生命力にあふれているが、両腕は上体の重みを支えるため自由を奪われている。この動きの中にある奔放さと禁欲のコントラストがなまめかしく、首に巻いた黒いチョーカーと響き合っているように感じた。また、このモデル独特のキレのある視線は、頭部に強い印象を惹きつける。無意識的にとったこの動きの中に、モデルの世界観やパーソナリティが凝縮しているように感じられた。

本作は、画面のサイズや密度の面で、これまで描いた人物デッサンの中で最も完成度の高い作品となった。十分な制作時間を確保した中で、納得のいくまで描き切ることができたことは、大きな収穫である。

今後のために反省点も記しておこう。本作のように中間色が画面の大部分を占めるような場合は、色価の設定上、肌の色などを意図的にハイ・キ―で設定した方が、髪の黒さや毛布の色からの対比によって浮き立ってみえたはずである。今回は、見たままに描ききることに徹し、グレーの基調がやや重くなってしまったが、今後はものの色みを魅力的に見せる一工夫が必要だと思う。また、人物の背景にある”床面の奥行き”を描くことに大苦戦したが、人物の魅力を引き立てる背景について、今後さらに創造力を働かせる必要があると思われる。

【参考】

人物画:http://studio-bosque.com/gallery%e2%85%a0/figure/

「プロセスの中で」http://studio-bosque.com/2018/05/08/purosesuno-nakade/

「”q”に込める情熱」http://studio-bosque.com/2018/06/10/qnikomerijounetsu/

choker(部分)

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