月の使者、ついに完成!

2018 / 月の使者 / 鉛筆・墨 / B1

5月初旬より制作を開始した「月の使者」が完成した。累計時間をカウントしていないが、おそらく100数十時間は裕に費やしたように思う。描きはじめは何度も心が折れそうになったが、完成に近づくにつれ描く楽しさが増し、このモチーフと向き合えて良かったと思う。

今回は、モチーフ設定に自分の趣向を余すことなく盛り込むことができた。光のあて方によってできる影の効果を狙っていたので、物の置き方や位置関係にこだわり、何度も試行錯誤を繰り返した。

また、モチーフの選び取りにもこだわり、自分なりの「見立て」と物と物の関係性によって生じる「寓話性」を主題に盛り込もうと試みた。その考え方をここに覚え書きとして残しておこう。

 

●1.三日月と階層構造

視点を安定させることが難しいこの位置で描くことにこだわったのは椅子の“背もたれ”のカタチが三日月に見えたからである。「月の使者」という主題の発想はここから生まれたものである。さらにこの静物画は、「床 ― 椅子の座面 ― 机上」3層の基底面で構成されている。それを自分の見立てによって「影・地平」―「空・境界」―「光・意識の世界」とし、それぞれの階層にイメージする世界を描こうと思った。

 

●2.見立てによるイメージの配置

それぞれのモチーフのもつイメージを関係づけながら、各階層に配置した。貝の巣穴のある石の穴をクレーターに見立てて惑星としたり、靴が歩くための装具であることから、「靴→歩く→旅人→人生」というような自由連想をしたりして、イメージを膨らませた。「寓話性」の中核を担う「星の王子さま」を机上に置くことで、周辺の非日常的なモチーフに何かしらの必然性を与えることができたように思う。

 

●3.対角線を使い、視線の導入部を強調

画面上に対角線を引くと椅子の背もたれの端が、ちょうど画面の中心になるよう構成した。このポイントが最も手前にあり、空間的に強調されるポイントであると同時に、白線で示す補助線によってさらに強調される。

 

●4.らせん状に視線を誘導する円の構成

画面の中心(視線の導入部)から、モチーフを視線で追ってみよう。三日月形の背もたれの弧に沿って机上に導かれた視線は、向日葵の茎の弧を通って眼鏡の左のツルの曲線を辿り、椅子の座面に落ちていく。(赤い矢印)さらに座面に置かれたガラスのエッジを滑り、円形に配意した石の間を辿っていく。(黄の矢印)さらに、らせん運動は小さくなり中心に置かれたハチの巣の黒い穴に吸い込まれていく。(青い矢印)・・・このハチの巣は、庭で拾ったひょうたん型をしたアシナガバチの巣である。この黒い穴は、視線の終点であると同時にブラックホールでもあるのだ。(笑)

 

 

この作品は、ギャラリーID主催の「素描展」に出展に向けて制作したものである。この企画展は、極めてレベルの高い展示であり、今週末、作品審査を控えているが、果たしてどうなることやら・・・。出展不可とならないとよいのだが。僕の全力投球が、日の目を見ることを願うばかりである。

【参考】

静物画: http://studio-bosque.com/gallery%e2%85%a0/stilllife/

blog「月の使者」: http://studio-bosque.com/2018/05/16/tsukinoshisya/

blog「近くて遠い」: http://studio-bosque.com/2018/06/29/chikakutetoi/

blog「向日葵について」: http://studio-bosque.com/2018/07/17/himawarinitsuite/

blog「ジムノペディ」: http://studio-bosque.com/2018/08/03/gymnopedies/

blog「Little prince」: http://studio-bosque.com/2018/08/06/little-prince/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です