ネガティブを消すもの

2012 ミューズ

2012年、自宅の一部を自分でリフォームした時、あまった補修用のホワイトセメントを捨ててしまうのがもったいないので、それを空き缶に塗り込んで台座を作り、埋め込んだ針金に紙を貼り合わせてこの胸像を作った。当時、仕事と制作の両立が難しく、仕事が多忙になってくると制作のモチベーションが途絶えてしまうことが多々あった。そこで、半ばシャレで自分にハッパをかけるミューズ(学芸に霊感を与える女神)としてこの作品を作ったのだ。筆をもたせ「さあ、描きなさい!」という具合に・・・。

 

創作活動が生活の一部として心の循環を生み出している自分にとって、制作のモチベーションを保持していくことは大切なことだと思う。僕は、ライスワーク(ricework)として特別支援教育の仕事を選んだが、ライフワーク(lifework)として創作活動を必要としている。それが途絶えてしまうということは、幸福な生き方とは言えないように思う。

 

最近、テレビを見ていたら、漫才コンビ“オードリー”の若林正恭さんが対談の中で「“ネガティブ”を消すのは“ポジティブ”ではなく“没頭”だ」と言っていた。僕はそれについて心から共感する。落ち込んだ時、思うようにいかない時、誰だってネガティブになってしまうが、そんな時、書店に並ぶ数々の啓発書にあるようなポジティブな考え方は、ただただ痛いだけで入ってこないことがある。それはなぜか。ありがちなことだが、ポジティブな思考で成功した者は、自分の成功体験からポジティブなものを良しとしてネガティブなものを否定し、遠ざけようようとする。しかしネガティブな思考にある者は、やむにやまれぬ事情がもつれて悪循環に陥っているのだ。それについて考え方を変えたくらいで易々と改善されるなら世話はいらない。むしろポジティブな思考の「モデルケース」とネガティブな思考にある「現実」とを並べ比べられることの方がつらいことだってあるのではないか。

「ネガティブを消すのは没頭である」とするなら・・・現実的な打開以前に、仕事であれ、趣味であれ、遊びであれ、それに没頭する時、具体性をもった目的に意識を集中し追及する中でネガティブな思考を払いのけることができる。そんな“没頭”が単なる現実逃避ではなく、未来につながる営為となるようにしたいものだ。

創作活動のモチベーションを絶やさないこと・・・ミューズはいつも微笑むとは限らない。それは思うだけでなく、何らかの工夫を行使することによってはじめて実現するように思う。

【参考】

固定ページ”立体作品”: http://studio-bosque.com/gallery%e2%85%a1/3dworks/

 

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