いつかリベンジ

2015 コンクリート工場 油彩

自宅のある瀬戸市から豊田市に向かって国道155号線を7kmほど南下したところに工業地帯がある。瀬戸―豊田間は、この道一本でつながっているため、豊田方面に用事があるたびにそこを通過することになるのだが、もとより工場好きな僕は、そんな風景に心惹かれてしまう。この絵に描かれたコンクリート工場は、国道沿いに面していて、前を走る車が停車するたびに横目でチラチラしてしまうスポットだった。

そこで、ついにこの場所で描くことを決意したのは、2015年の秋だった。国道沿いに車一台分の駐車スペースがあり、ガードレールに仕切られて廃路となっている道を徒歩で進むと、絵を描くのにおあつらえ向きな場所があった。その場所は、地面がアスファルトで舗装されていたが、周りを囲むように生い茂る雑草やツタのカーテンによって隔離されていて、誰の目にふれることもなく、気の向くままに使うことができた。そんな場所を独占できてしまうとなると、なぜかソワソワしてしまう。(笑)僕は時々絵筆を止めて、アスファルト地にごろんと寝てみたり、空き缶に石をぶつけて的あてをして遊んだり、歌ってみたり、やりたい放題遊んでいた。だから自分で言うのもなんだが、この絵はちょっと集中力が欠けているというか、何か他ごとにかまけていてやり切っていないというか、「おい、もうちょっと真面目にやれよ!」という反省があるのだが、手前のツタを描き切らず手を抜いたことで奥の工場が焦点化されたという点では功を奏している。

この頃は、油絵具の色をどのように作るかということに腐心していた。補色関係にある対極の色を混ぜて黒に近いくすんだ色を作り、暗い調子に使うことでニュアンスを加えようとしていた。(そうすることで、色彩に深みを加えることができることを知ったのだ。)

この場所から見る風景は、午前と午後で光の向きや加減が全く違ったものとなるため、描ける時間が非常に限られていた。そのせいか、今こうして見ると対象のディティールを細かく拾い上げ、描き仕上げる意識が先行してしまっているように思う。近代以降、とりわけ印象派以降の絵画に多く見られるような絵の具の使い方―(絵の具の質感がそのまま対象物の存在感や空気感に変換されていくような)―について、もっと学ぶべきだ。また緑色という有機的な色彩をどう扱うかも今後の課題だ。自分はオリーブ系の暖かい緑色でまとめようとして、どこかキレ味のない感じにしてしまうことがよくあるが、意図的に寒色系の色調をうまく織り混ぜていく必要があると思う。

この絵は課題アリアリなのだ。今も時々、この場所を通過するたびに、またいつかこの場所で描いてやろう、と思ってやまない。リベンジマッチ、いつか再び。今度こそ!

 

 

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