緊密な距離感

アトリエ7.qは、9月よりSeason4に突入した。今回のテーマは、ポージングなしの極めて簡素な「立位」である。

初日は、クロッキーを半日行い、自由で伸びやかな手の動きによって全身のイメージをつかむことから始めた。クロッキーは対象のイメージを潜在意識に沈潜させることができる。僕は、青いコンテが好きだ。クロッキー帳のクリーム色の画面に青色はスッキリと見やすく、寒色系は眼にやさしい気がする。今回はプルシアン・ブルーを使用した。このコンテの質感はやや硬質な感じがする。

今日は、予め下地を施したP50号のキャンバスに、油彩で粗く描き出したところで終わった。

 

2018.9.16 油彩

このようなポーズなしの立位は、構図上の選択肢が限定されるが、今回、あえてこのポーズにこだわったのには理由がある。

モデルさんは、アトリエ7.qの空気にすっかり馴染んでいて、ポージングを終えると、時々半裸のままリラックスしてモデル台に寝そべったり、服を着ないままモデル代を受け取りに来たりする。そんな時、ふいをつかれ僕とモデルさんが近すぎる距離感にあると、めまいに似たクラクラとした動揺が起こり、僕は軽くパニックになってしまう。裸身を直視できず、ドギマギと混乱し、僕は反射的に目をそむけ、サッと離れてしまう。

考えたら、不思議なことだ。これまで散々裸体を見続けているというのに。一体どうしてなのかと考えてみる。

描く時のモデルとの距離は、およそ2m。この距離で見る女性の裸身と、自分のパーソナルスペースである半径1m以内にある裸身では、感覚が全く異なるのだ。パーソナルスペースの中にある裸身は、「見え過ぎる」のだ。するとその裸身は僕にとって描く対象としてのキャパシティを超えてしまい、そこにたちあがる「性」の感覚によって激しく揺さぶられてしまう。

ノーポーズのモデルの裸身を正面から描く・・・。これは安泰な位置から混乱の位置までの、その差1m少しの距離感を、描く行為を通して近接する試みである。この感覚をエロチシズムと言ってしまえばそれまでだが、それは緊密な空気の中に、親和性と畏怖が共存する、近くて遠い、果てしない距離感であるように思う。

 

 

 

 

 

 

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